はじめに
VMware Workstation Pro は、開発・検証・テスト環境の構築において長年利用されてきた代表的なデスクトップ仮想化ソフトウェアです。
近年、VMware は 従来の数値ベースのバージョン管理（17.x 系）から、年＋半期を用いた新しい命名体系（25H2）へ移行しました。
本記事では、VMware Workstation Pro 17.0 系と最新の 25H2 を比較し、何が変わったのか、どちらを選ぶべきかを、公式情報および信頼できる報道をもとに分かりやすく整理します。
バージョン表記が変わった理由
17.0 系（従来の数値バージョン）
17.0 系は、これまで VMware が長年採用してきた数値ベースのバージョン管理方式です。
17.0 → 17.5 → 17.6.x といった形で機能追加や修正が積み重ねられてきました。
この方式は分かりやすい一方で、どの時期のリリースなのかが直感的に分かりにくいという側面もありました。
25H2（カレンダーバージョン方式）
25H2 は「2025 年後半（Half 2）」を意味する名称です。
Windows などでも採用されている カレンダーバージョン方式へ移行することで、
- リリース時期が一目で分かる
- 製品のライフサイクルを把握しやすい
といったメリットがあります。
機能比較：17.x 系と 25H2
運用面で影響の大きいポイントを中心に比較すると、以下のような違いがあります。
| 項目 | 17.0 系（例：17.6.x） | 25H2 |
|---|---|---|
| バージョン体系 | 数値ベース | 年＋半期 |
| 仮想ハードウェア | v19 ～ v21 | v22 |
| USB 対応 | USB 3.0 / 3.1 | USB 3.2 |
| Hyper‑V 共存 | 基本対応 | 検出・共存性向上 |
| CLI ツール | vmrun 等 | dictTool 追加 |
| ゲスト OS | Windows 11 / 主要 Linux | 最新 OS 対応強化 |
| セキュリティ | vTPM / Secure Boot | 同等＋修正 |
| UI / 安定性 | 継続的改善 | 改善点多数 |
| 将来性 | サポート終了が近い | 現行・最新世代 |
技術的に注目すべき進化ポイント
仮想ハードウェア v22
25H2 では仮想ハードウェア v22 がサポートされました。
これにより、将来の OS やドライバへの対応力が向上し、長期運用を前提とした仮想マシン構成が可能になります。
USB 3.2 対応
USB 3.2 への対応により、USB‑C 接続の SSD や高速周辺機器を VM 内でより快適に利用できます。
開発用途やデータ検証用途では、体感差が出やすいポイントです。
Hyper‑V / Windows Hypervisor Platform との共存性向上
Windows 11 環境では、Hyper‑V や WSL2 との共存が課題になるケースがあります。
25H2 ではこれらの検出や共存動作が改善され、トラブルを避けた運用がしやすくなっています。
dictTool の追加
新たに追加された dictTool は、仮想マシン構成情報を CLI で検査・編集できるツールです。
自動化や構成管理を重視するユーザーにとっては、大きな改善点と言えるでしょう。
Windows 版と Linux 版の違いは？
「for Windows」「for Linux」という表記は、ホスト OS 向けのインストーラの違いを示すものです。
機能面の差はなく、仮想マシンの仕様や制限は共通です。
どちらを選ぶべきか
- これから新規に導入する場合
→ 25H2 を選択するのが合理的です。 - 既存の仮想マシンをそのまま維持したい場合
→ 17.x 系を継続利用する選択も可能です。
ただし、将来的なサポート終了（EOL）には注意が必要です。
まとめ
VMware Workstation Pro 25H2 は、単なる名称変更ではなく、
仮想ハードウェア、USB、共存性、運用性の面で着実な進化を遂げた現行世代です。
特別な理由がない限り、今後は 25H2 を基準に環境構築や検証を進めることをおすすめします。
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